ほぼ無償で YouTube 動画を音声ファイル化して iPhone で聴く方法

作成日: 2025/04/28, 更新日: 2025/04/28

YouTube 動画をバックラウンド再生したり、オフライン再生するには YouTube Premium に加入する必要があります。
YouTube Premium は 2025年4月現在月額 1,280 円かかりますが、あまりお金をかけたくないという方も多いと思います。
無償で利用で可能な yt-dlp というライブラリを利用することで、YouTube 動画を音声ファイルや動画ファイルとしてダウンロードすることができます。
僕はこのダウンロードした音声ファイルを iPhone の CloudBeats アプリで保存し、オーディションブックとしてジムの最中などに聴いています。
本記事では、yt-dlp を利用して YouTube 動画を音声ファイル化して iPhone で聴く方法を記載いたします。
なお、yt-dlp は YouTube の利用規約に違反する可能性があるため、自己責任でご利用ください。

1. はじめに
1. 1.1. iPhone へ音楽を保存するまでの流れ
2. 1.2. この記事の実装を行うために必要なコスト
2. 前提知識
1. 2.1. yt-dlp とは？
2. 2.2. CloudBeats とは？
3. 手順
(応用編) iPhone のみで YouTube を音声ファイルとして保存する方法

1. はじめに

1.1. iPhone へ音楽を保存するまでの流れ

以下に iPhone へ音楽を保存するまでの流れを記載しました。

① yt-dlp で YouTube ダウンロード処理を実行
- YouTube の動画を音声ファイルとしてダウンロードするためのコマンドを実行します。
② ダウンロードしたファイルを Google ドライブなどに保存
- ダウンロードした音声ファイルを Google ドライブなどのクラウドストレージに保存します。
- CloudBeats では以下のクラウドストレージに対応しています。
  - Google ドライブ
  - Dropbox
  - OneDrive
  - Box
  - pCloud
  - MediaFire
  - NextCloud
  - My Cloud Home
  - WebDAV
③ Google ドライブから CloudBeats へダウンロード
- CloudBeats アプリを開き、Google ドライブから音声ファイルをダウンロードします。

1.2. この記事の実装を行うために必要なコスト

Python を実行するための PC や、音楽を保存するための iPhone は必要ですが、すでに持っているものを使用する場合は、特にコストはかかりません。
- CloudBeats は iPhone だけでなく Android でも使用できるので、Android ユーザーの方も参考にしていただければと思います。
CloudBeats は 1500円/1回払いのプレミアムパックを購入することで、再生速度の変更やオフライン再生が可能になります。
- 格安 SIM ではなく通信量無制限の SIM を使用している場合は、オフライン再生は必要ないかもしれません。
類似のアプリをいくつかピックアップして比較いたしました。
- CloudBeats は当初 500 円程度で買えたものが、現在は 1500 円/1回払いに値上がりしてしまいました。サブスクリプションではないので、1回払いで購入すればずっと使えるのが魅力です。
- AudioRepeater は無料でオフライン再生ができるのが魅力的ですが、クラウドサービスとの連携ができません。
  - Google ドライブや Dropbox などのクラウドサービスに保存した音楽を取り込む場合、手動でダウンロードしてから取り込む必要があります。
  - 大量の音楽ファイルを取り込む訳ではない場合、無料版の AudioRepeater を使用するのも良いかもしれません。

機能	CloudBeats プレミアムパック	Evermusic プレミアム	AudioRepeater
料金	1500円/1回払い	1500円/年	800円/6ヶ月
プレイリスト作成	○（無料版は制限あり）	○（無料版は制限あり）	○（無料版は4つまで）
オフライン再生	○（無料版はなし）	○（無料版はなし）	○
フォルダごとの同期	○（無料版はなし）	○（無料版はなし）	×
複数クラウドサービスの連携	○（無料版は1つまで）	○	×
広告の非表示	○（無料版はあり）	○（無料版はあり）	○（無料版はあり）
再生速度	○（無料版はなし）	○	○

まとめると、 総額 0 円〜 1,500 円で、iPhone へ YouTube を音声ファイルとして保存することができるようになります。

2. 前提知識

2.1. yt-dlp とは？

yt-dlp は、YouTube やその他の動画サイトから動画や音声をダウンロードするためのコマンドラインツールです。
コマンドラインで実行したい場合、pip を使用してインストールすることができ、以下のコマンドを実行することでインストールできます。

pip install yt-dlp

yt-dlp をインストール後、パスを通すことでコマンドラインから実行できるようになります。
- ~/.bash_profile や ~/.zshrc の PATH に以下のコマンドの実行結果で得られるパスを追加します。

pip show  yt-dlp | egrep ^Location

# 出力例
Location: /Users/user01/.pyenv/versions/3.12.1/lib/python3.12/site-packages

# ~/.bash_profile や ~/.zshrc に以下のように追記
export PATH=$PATH:/Users/user01/.pyenv/versions/3.12.1/lib/python3.12/site-packages/yt_dlp

同じようなツールとして、 youtube-dl というツールもあります。
youtube-dl は2020年に米レコード協会（RIAA）からのデジタルミレニアム著作権法（DMCA）に基づく削除要請を受けて、GitHub から削除されましたが、現在は GitHub に復活しています。
ただし、youtube_dl は 2020年に開発が停止されており、現在は前述した yt-dlp というフォーク版が開発されています。
現在最新版の 2021.12.17 を実行すると、以下のようなエラーが発生します。

% youtube-dl  "https://www.youtube.com/watch?v=lVfIDu1GqzI"
[youtube] lVfIDu1GqzI: Downloading webpage
[youtube] lVfIDu1GqzI: Downloading player 22f02d3d
ERROR: Signature extraction failed: Traceback (most recent call last):
  File "/Users/user01/.venv/lib/python3.11/site-packages/youtube_dl/extractor/youtube.py", line 1360, in _decrypt_signature
    func = self._extract_signature_function(
           ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
  File "/Users/user01/.venv/lib/python3.11/site-packages/youtube_dl/extractor/youtube.py", line 1274, in _extract_signature_function
    res = self._parse_sig_js(code)
          ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
  File "/Users/user01/.venv/lib/python3.11/site-packages/youtube_dl/extractor/youtube.py", line 1343, in _parse_sig_js
    initial_function = jsi.extract_function(funcname)
                       ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
  File "/Users/user01/.venv/lib/python3.11/site-packages/youtube_dl/jsinterp.py", line 245, in extract_function
    raise ExtractorError('Could not find JS function %r' % funcname)
youtube_dl.utils.ExtractorError: Could not find JS function 'decodeURIComponent'; please report this issue on https://yt-dl.org/bug . Make sure you are using the latest version; see  https://yt-dl.org/update  on how to update. Be sure to call youtube-dl with the --verbose flag and include its complete output.
 (caused by ExtractorError("Could not find JS function 'decodeURIComponent'; please report this issue on https://yt-dl.org/bug . Make sure you are using the latest version; see  https://yt-dl.org/update  on how to update. Be sure to call youtube-dl with the --verbose flag and include its complete output.")); please report this issue on https://yt-dl.org/bug . Make sure you are using the latest version; see  https://yt-dl.org/update  on how to update. Be sure to call youtube-dl with the --verbose flag and include its complete output.

2.2. CloudBeats とは？

CloudBeats は、Google ドライブや Dropbox などのクラウドストレージに保存した音楽をストリーミング再生するためのアプリです。
CloudBeats を使用することで、iPhone に音楽を保存することなく、ストリーミング再生を行うことができます。
Free 版でもストリーミング再生は可能ですが、オフライン再生を利用したい、再生速度を変更したい場合はプレミアムパックを購入する必要があります。

機能	Free 版	プレミアムパック
プレイリスト作成	○	○
オフライン再生	×	○
フォルダごとの同期	×	○
複数クラウドサービスの連携	×	○
広告の非表示	×	○
再生速度	×	○

3. 手順

3.1. ① yt-dlp で YouTube ダウンロード処理を実行

まず、パソコンでダウンロードしたい YouTube の動画の URL を取得します。
- URL は、YouTube の動画のページを開き、アドレスバーからコピーします。
- 例: 【広告なし⧸作業用BGM】2024年流行った神曲メドレー！の場合、URL は https://www.youtube.com/watch?v=lVfIDu1GqzI になります。
ターミナルを開き、ダウンロードしたいフォルダへ移動後、以下のようなワンライナーのコマンドを実行することで、YouTube の動画を音声ファイルとしてダウンロードすることができます。

# ダウンロードしたいフォルダへ移動
cd ~/Downloads

# 【広告なし⧸作業用BGM】2024年流行った神曲メドレー！をダウンロード
yt-dlp -f wa "https://www.youtube.com/watch?v=lVfIDu1GqzI"

以下は Mac PC で実行した際の実行画面です。

3.2. ② ダウンロードしたファイルを Google ドライブなどに保存

ダウンロードした音声ファイルを Google ドライブなどのクラウドストレージに保存します。
後から追加した音声ファイルも同期するために、専用にフォルダを作成して保存することをお勧めします。
以下は Google ドライブへアップロードする際の画面です。僕の環境の場合はそこまで多くの音声ファイルを保存していないため、 YouTube や音楽といった大きな分類のフォルダを作成して管理してます。
- アップロードには時間がかかるので、まとめてファイルをアップロードしてしばらく待機します。

3.3. ③ Google ドライブから CloudBeats へダウンロード

続いて、iPhone の CloudBeats アプリを開きます。
アプリを開いた後、初回起動時には右上のハンバーガーメニューをタップし、[設定] を選択します。

[設定] 画面が開いたら、音声ファイルを保存したクラウドサービスを選択します。
ここでは Google ドライブを選択します。僕の環境ではすでにログインしているので、ログイン時の画面は割愛させていただきます。

ログインして連携した後、ハンバーガーメニューから開いたメニューに連携したクラウドサービスが表示されるので、タップします。

タップするといくつかのフォルダが表示されます。⬇︎ のアイコンがついているフォルダはすでに一度ダウンロードしたフォルダです。
ここでは、先ほど Google ドライブにアップロードしたフォルダ名の右にある・・・のアイコンをタップします。

すると、以下のようなメニューが表示されるので、[ダウンロード] をタップします。

ダウンロード中は先ほどタップしたフォルダ名の右にある・・・のアイコンがプログレスバーに変わります。
ダウンロードが完了すると、⬇︎ のアイコンが表示されます。
これで、CloudBeats で音声ファイルをストリーミング再生できるようになります。

(応用編) iPhone のみで YouTube を音声ファイルとして保存する方法

以下の記事にあるように、Pythonista3 (1500円/1回払い) と iPhone 標準のショートカットというアプリを利用することで、iPhone のみで音声ファイルをダウンロードできるようにすることも可能です。
- Pythonista3とショートカットを利用したワンタップYouTubeダウンローダー｜Not defined
ただし、この環境を作るには追加で Pythonista3 の料金がかかるのと、利用するツールが多く初期セットアップの手順が複雑なため今回の方法を選択しました。